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賃貸借契約で保証会社と連帯保証人の違いは?選び方や注意点も紹介

賃貸物件を探していると、「保証会社」や「連帯保証人」という言葉を目にすることが多いですが、その違いをはっきり理解している方は意外と少ないのではないでしょうか。どちらを選ぶべきか迷う場面も多いはずです。この記事では、賃貸契約における保証会社と連帯保証人の具体的な違いや、それぞれの仕組み・役割について分かりやすく解説します。契約時に後悔しないための知識を、一緒に身につけていきましょう。

賃貸契約における保証会社とは何か

賃貸契約において保証会社とは、借主の家賃など金銭債務を保証してくれる専門の会社です。万一、借主が家賃を滞納した場合、保証会社が大家さんへの代位弁済を行い、入居者の契約継続や大家さんの収入確保を支える役割を果たします。これにより、大家さん側は家賃回収のリスクを軽減できる点が大きな特徴です。

保証会社を利用する最大のメリットとして、連帯保証人を立てる必要がない点があります。家族や知人などから連帯保証人をお願いできない場合でも、保証会社を利用すれば契約が可能となるため、初めての一人暮らしや単身赴任の方でも賃貸のハードルが下がります。また、敷金を軽減できる物件もあり、初期費用の負担を抑えられるケースも見受けられます。

保証会社の費用は一般的に以下のような構成となります。下表に代表的な費用相場をまとめます。

費用の種類相場備考
初回保証料家賃+共益費等の総額の約 0.5~1ヶ月分物件や会社により異なり、月額プランもあり
更新保証料年間1~2万円程度、または賃料の10%程度契約プランにより免除や月額に含まれる場合もあり
月額保証料300円~1,000円程度、または賃料の1~3%初回保証料が低めのプランで適用される傾向あり

例えば、初回保証料は家賃の半月~1か月分が目安とされており、以降は年1~2万円程度の更新料がかかるケースが多いようです。月額プランを採用する会社では初回費用を抑え、毎月のコストに分散することも可能です。ただし、物件や保証会社によって条件が異なりますので、契約前には支払い時期・金額・免除条件の有無などをしっかり確認することが重要です。

連帯保証人とは何か、その役割と責任

賃貸契約における連帯保証人とは、借主が賃料を滞納した場合などに、借主と同様に債務を負う人を指します。保証会社と異なり、連帯保証人は主債務者と“並んで”責任を負うという点が最も大きな違いです。保証会社が第三者として保証役を担うのに対し、連帯保証人は個人の立場で直接責任を追うことになります。

連帯保証人が負う責任は非常に重く、「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」「分別の利益」の三つの法的権利が認められません。催告の抗弁権とは、保証人であれば「まず主たる債務者に請求してほしい」と主張できる権利ですが、連帯保証人にはこれがありません。検索の抗弁権とは、保証人が主債務者の財産を先に差し押さえてほしいと主張できる権利ですが、これも認められていません。さらに、分別の利益とは保証人が複数いる場合、債務を人数で割って責任を分けられるという権利ですが、連帯保証人にはありません※。

また、2020年(令和2年)の民法改正により、連帯保証人の負担を一定額に限定する「極度額」の明示が義務化されました。この金額を契約書で定めていない場合、連帯保証部分の契約は無効となります。さらに、借主から連帯保証人に対しては、借主自身の財産状況や他の債務についての情報提供義務があり、また、借主が期限の利益を喪失した場合、貸主は2か月以内に連帯保証人に通知しなければ、滞納による延滞損害金などを請求できないルールも設けられています。

項目説明法的背景
催告の抗弁権主債務者へ先に請求を求める権利保証人のみ認められ、連帯保証人にはない※
検索の抗弁権主債務者の財産への執行を先に求める権利保証人のみ認められ、連帯保証人にはない※
分別の利益保証人間で債務を按分できる権利保証人のみ認められ、連帯保証人にはない※

これらのポイントから、連帯保証人は非常に重い責任を負う存在であることがわかります。連帯保証人をお願いする際は、必ず責任範囲やリスク、民法改正による新たなルールをしっかり理解することが重要です。

保証会社と連帯保証人、どちらを選ぶべきか? 検討ポイント

賃貸契約において、保証会社を利用するか連帯保証人を立てるか、迷っている方へ向けた判断のヒントをご案内します。以下の表で、状況に応じた選び方の判断基準を整理しました。

状況選ぶべきもの理由
頼れる身近な人がいない保証会社連帯保証人を立てられない場合でも、保証会社を利用すれば契約が可能です。
なるべく費用を抑えたい連帯保証人+保証会社(併用)連帯保証人を立てることで保証料が安くなるケースがあります。
費用より契約の手間を抑えたい保証会社保証人をお願いする手間や関係への負担を避けられます。

上記のように、まずは「連帯保証人を立てられるかどうか」という状況を整理することが、判断の第一歩になります。

次に、保証会社を利用する際の主なメリットを整理します。第一に、連帯保証人がいなくても賃貸契約を進めやすくなる点です。頼れる保証人がいない人でも、契約の審査を通過しやすくなります。

さらに、保証会社のプランは、初回保証料・更新料・月額保証料など複数あり、契約者の負担状況に応じた選択が可能です。初期費用を抑えたい方には月額型、短期間の入居には一括型が適しているなど、柔軟なプラン選びができます。

一方、連帯保証人を立てるメリットおよびデメリットもしっかり確認しておきましょう。メリットとしては、社会的な信用のある連帯保証人がいる場合は、大家さんから信用されやすく、審査や契約がスムーズになる可能性があります。

ただし、連帯保証人には「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」「分別の利益」が認められず、契約者と同等の重い責任を負うため、想定外のトラブル発生時に大きな負担をかけてしまうリスクがある点は注意が必要です。

以上のように、どちらを選ぶべきかは「連帯保証人を頼めるか」「費用と責任のバランス」「契約の簡便さ」の3点を軸に判断するのがポイントです。

賃貸契約で保証会社とはを理解したうえで、迷わず進めるためのポイント

まず、ご契約予定の物件において、保証会社の利用が「必須かどうか」を事前に確認しましょう。多くの場合、不動産会社や管理会社が指定する保証会社を利用する必要があり、自分で選ぶことはできません。ですので、事前に「この物件は保証会社の利用が必要か」「連帯保証人のみで対応可能か」を確認することが大切です。保証会社が必要とされる物件が増えていますので、ご自身の状況と合うかどうかまずは確かめましょう。

確認項目内容理由
保証会社利用の要否必須か任意か事前に必要性が明確になる
連帯保証人でも可能か可能・不可の確認費用負担や手続き負担が変わる
選べる保証会社か指定か選択可能か費用や条件を比較できるかが変わる

次に、保証料や更新料、そして保証範囲について、費用負担を明確にしておきましょう。たとえば、
• 初回保証料は家賃+共益費等の総額の30%~100%が相場(例:家賃6万円なら3~6万円ほど)となっております。
• 更新料は1年ごとまたは2年ごとの支払いで、1万円前後のことが多くあります。
• また、月額保証料として家賃の1~3%程度が毎月加算されるプランもあります。
これらの費用は会社やプランによって大きく異なるので、総額でいくらになるかを契約前に把握しておくと安心です。

最後に、もし連帯保証人を立てることができる場合、保証会社の利用と組み合わせることで費用を抑えられる可能性もあります。例えば連帯保証人がいることで初回保証料や更新料が割安になるプランもあるため、不動産会社に「連帯保証人を立てた場合の費用はどう変わるか」を相談してみることをおすすめします。このように情報を整理しておくことで、不安なく賃貸契約を進められます。

まとめ

本記事では、賃貸契約における保証会社と連帯保証人の違いについて解説しました。保証会社は、連帯保証人がいなくても契約しやすく、費用や手続きも明確です。一方、連帯保証人には重い責任が伴い、民法改正により負担限度額の明示や情報開示義務が生じました。どちらを利用するかは、状況や希望により異なりますが、賃貸契約時には条件や費用をあらかじめ確認し、納得したうえで安心して進めることが大切です。

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